お菓子型のブリキ、アルタイト、アルスターの違い

お菓子型(ケーキ型など)の金属素材ってたくさんの種類があり、専門用語も出てくるのでなかなか覚えるのが大変です。そこで今回は焼き菓子の型に使われる鉄素材について馬嶋屋流に分かりやすく説明したいと思います。
目次
鉄素材の種類・特徴
お菓子型やパン型で使われる鉄素材の種類は表面のメッキの種類によって呼び名が異なります。
ブリキ(すずめっき)
アルタイト、アルスター、アルシート(アルミめっき)
ギルア(クロームめっき)
スチール(めっき無し)
ただ、これをすべて覚えるのは大変なのでこれらの名称を目にしたら
『鉄の仲間だ』
と覚えておきましょう。
鉄は熱通りがよく丈夫な素材のためマドレーヌ型やフィナンシェ型、マフィン型など焼菓子型全般に広く使用される材質です。
※このほかに間違いやすいものとして、アルタイトとアルミの違いがございます。アルタイトは鉄の板の表面にアルミメッキされたもの、アルミは板そのものがアルミと言う材質のため、熱通りなどが異なります。
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鉄素材のメリット・デメリット
お菓子の型として広く使われるこれらの鉄素材のメリットデメリットをまとめました。
【メリット】
熱通りが良く焼き上がり、色付きがいい。
丈夫なため歪みにくく業務用として耐久性がある。
【デメリット】
水に弱く空気中の湿気でもサビやすい。
デメリットであるサビについてはとても気になるところ。馬嶋屋では使い終わりもできるだけ水洗いはせずに拭き掃除程度で風通しの良いところで保管を推奨しております。
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鉄素材は空焼き必要?
これらの鉄素材は基本的にご購入後初めて利用する前に1度空焼きが必要になります。
ただし、これらの材質であってもシリコン加工またはテフロン加工(フッソ加工)がされている場合は空焼きが不可となります。
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ブリキ
鉄の中でも特に熱通りがいいとされるブリキ。表面のメッキの厚さによって主に2種類ございます。
通常のブリキ
ハンダブリキ
通常のブリキよりもめっきの膜厚が厚いものをハンダブリキと呼びます。職人さんの中ではどぶ漬けブリキとも呼ばれ特殊は方法でめっき加工されます。
千代田金属さんのお菓子型や松永製作所さんの黄金シリーズはこのハンダブリキを使用しており、通常のブリキよりもサビにくいのが特徴です。
千代田金属さんや松永さんの黄金シリーズのお菓子型はシリコン加工される工程で銀色から金色へ変化します。
また、耐熱温度が220度程度のため一般的なマドレーヌやフィナンシェ、マフィンなどのお菓子型におすすめです。反対にカヌレなどの高温でパリッと焼き上げたいお菓子の場合にはおすすめしておりません。
アルタイト、アルスター、アルシート
アルタイト、アルスター、アルシートなどは呼び名が異なるだけで基本的には同じ素材です。鉄にアルミメッキがされており鉄の丈夫さとアルミの熱通りの良さを兼ね備えています。
耐熱温度は300度以上でもOKと言われることもありますが、お菓子作りにおいては250度程度と覚えておいてください。
※材質のアルミとアルタイトの違いは金属の板そのものが「アルミ」の場合と金属の板が「鉄」にアルミの膜をコーティングしたものがアルタイトとお考え下さい。そのため、アルタイトの主成分は「鉄」となり「アルミ」とは異なります。
ギルア
主にタイガークラウンさんの商品で扱われる材質で鉄にクロームと呼ばれるめっきがされている材質です。
メッキの耐熱温度も高く製造時の機械油の付着もほとんどないため安心して使える材質です。推奨ではありませんが強いめっきのため型の汚れがどうしても気になる場合は水洗い等も割と耐えられる材質です。
※水洗いについては推奨ではありませんためご利用者様のご判断にてお願い致します。
スチール
スチールはめっきのない鉄素材全般を指します。霜鳥製作所さんや富士ホーローさん、海外製のお菓子型に使われる子田が多く、表面にシリコン加工やテフロン加工(フッソ加工)がされているものがほとんどです。めっきがない分、水洗いしてしまうと加工の隙間から入り込んだ水分が中の鉄を錆びさせてしまうため注意が必要です。
まとめ
お菓子型とくに焼き菓子の型選びで困った時は鉄素材のものを選ぶことをお勧めします。理由は熱通りがよく丈夫なためどんな焼き菓子でも万能でおいしい焼き上がりなるからです。ぜひご検討下さい。