2020/07/06

お菓子型におすすめのシリコン加工とは



お菓子型のシリコン加工
シリコン加工の様子

型離れ効果のあるお菓子型によく利用されるシリコン加工ですが、正しい使い方やお手入れをしていないと十分に効果を発揮できません。

今回は型離れ効果のある製菓用のシリコン加工とはどういう加工なのか、シリコン加工についてよくある間違った事例を交えながら分かりやすく解説していきたいと思います。



目次

  1. お菓子型のシリコン加工とは?
  2. お菓子型にシリコン加工がおすすめの理由
  3. シリコン加工=油脂不要は間違い
  4. シリコン加工のメリットとデメリット
  5. 水洗いや水分の多いお菓子はだめ



1.お菓子型のシリコン加工とは?

製菓用シリコン加工とは金属型の中でもとくにお菓子型に施される離型効果のある樹脂加工です。目には見えないまたは手で触れてもわからないくらい薄い膜のようなものです。

一般的に言われる「シリコン」には、この樹脂膜を表すものとゴム(シリコーンゴム)を意味するものがあります。
今回は、「樹脂膜」を意味するシリコン樹脂加工について解説していきます。



2.お菓子型にシリコン加工がおすすめの理由

馬嶋屋の基本のフィナンシェ
基本のフィナンシェ

お菓子作りが一般のお客様に普及する前から大きな製菓工場ではよく使われていたシリコン加工。型外しのための業務効率化のために使われ、徐々に型離れが悪くなると2~3か月に1度、多いときでは毎月のように再加工が必要になります。

現在では、一般のお客様も多くお菓子作りをお楽しみ頂けるようご家庭用のお菓子型にも広くシリコン加工が施されるようになりました。

フライパンなどに使われるテフロン加工(フッソ加工)とは若干異なり、糖分の高いお菓子の生地などに離型効果を発揮できるのが特徴です。

そのため、お菓子型にはシリコン加工が施されているものを推奨しております。



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3.シリコン加工=油脂不要は間違い

「シリコン加工だから、油を塗らなくてもスッッと外れます。」というご感想をとてもよく頂きます。とても嬉しいご感想であるのですが、使い方としては間違いです。

シリコン加工は加工の持ちが良くないというデメリットがあります。そのため、油脂を塗らずに使用するとシリコン加工の劣化が著しく早まります。

どんなに良質な千代田金属さんや松永製作所さんのお菓子型でも1か月も経たないうちに型離れが悪くなる・・・なんてことも過去にはありました。

工場さんからいつも
「シリコン加工であっても少量でもいいので油脂を塗って下さい。」
と言われます。

加工の持ちが良くないため少しでも劣化を遅らせるために少量の油脂でシリコンの膜を保護します。

健康ブームで油脂をなるべく使いたくないと言うお気持ちは分かりますが、それは間違った使い方となりますので馬嶋屋では推奨しておりません。



4.シリコン加工のメリットとデメリット

シリコン加工は離型効果があり、糖分の高いお菓子生地に対して型離れがしやすく空焼きが不要というメリットがあります。

しかし、加工無しのお菓子型などに比べると焼き色が付きづらくなるというデメリットもあります。プロのお菓子屋さんでは業務用のオーブンなどの設備があるため型離れを優先して選ばれる方もいらっしゃいますが

一般の方で、味や風味にもこだわりたい方は加工無しの型にバターなどの風味をプラスする意味で油脂を塗ってお使い頂くことをおすすめする場合もございます。



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5.水洗いや水分の多いお菓子はだめ

シリコン加工の有無にかかわらず、金属型は水洗いを極力さけるのがベターです。シリコン加工の場合、目には見えないシリコン樹脂膜の隙間に水が入り込み、

  • 下地の金属をサビさせてしまう
  • 膜が水に浮きはがれてしまう
  • こすることでさらに悪化させてしまう

ため、シリコン加工の劣化が著しく早まってしまいます。



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まとめ

マドレーヌやフィナンシェなどある程度糖分の高いお菓子の型には一般的にテフロン加工よりもシリコン加工がおすすめです。
また、加工がされているからと言って「油脂を塗らずに」は間違いです。加工を少しでも長持ちさせるために油脂のご利用と適切なお手入れ方法を守りましょう。