2021/12/24

お菓子型・パン型の空焼きとは



お菓子型の空焼き
ブリキマフィン型の空焼きの様子

お菓子作り・パン作りって空焼き(からやき)が面倒・・・
空焼きを失敗して型離れが悪くなって以来シリコン加工しか使わない・・・っというのはよく聞くお話ではありませんか?

今回は、お菓子型専門店の馬嶋屋がお菓子作りの不安要素でもある空焼きについて「1回目の空焼きをしっかり行えば2回目の空焼きは必要無し!」と言う馬嶋屋独自の空焼き方法と基礎知識を解説致します。



目次

  1. そもそも空焼きとは?
  2. 空焼き済み=型離れは間違い
  3. 空焼きが必要な素材は何?
  4. メッキを強くし汚れを取るための空焼き
  5. 型離れをよくするための空焼き



1.そもそも空焼きとは?

馬嶋屋が推奨する空焼きには2つの意味があります。

(1)汚れを取りメッキを強くするための空焼き
(2)型離れをよくするための空焼き

よくある解説の中には
「機械油や汚れを取り、型離れをよくするため」

と解説されている他ショップさんが多く見受けられますが、この2つの意味を1文にまとめてしまうと大きな誤解を生じます。

確かに、1文でまとめると同じ意味ではあるのですが、

機械油や汚れを取る空焼きと
型離れをよくするための空焼き

は方法が異なりますので、一緒くたにしてしまうと空焼きを失敗する原因にもなります。さらに言うと馬嶋屋では「型離れをよくするための2回目の空焼き」は推奨しておりません。理由は後ほど解説します。

また、馬嶋屋で販売されている空焼き済み食パン型は、専門の業者様にお願いをしています。その業者様とのやりとりでは空焼きのことを(空焼き)洗浄と呼び、まさに「機械油や汚れを取る為の洗浄」という意味でこの言葉を使っています。

空焼きには2つの方法があることと順番を間違えると最悪の場合はお買い換えになることもありますので、このあとの解説をよくご覧頂ければと思います。



2.空焼き済み=型離れは間違い

「空焼きしたから型離れが良くなった」とお客様からのご感想などを頂くことがありますが、空焼きの本当の意味を考えると誤解があります。

汚れを取るための空焼きだけでは、型離れが良くなったとは言えません。

汚れを取り、型離れが悪くなる原因を取り除いた後に油馴染みのための空焼きを行って頂くことで、型離れが徐々に良くなっていきます。と言うのがほとんどの他ショップさんで案内されている一般的な空焼きの方法です。

しかし、この油馴染みのための2回目の空焼きは失敗することも多く馬嶋屋では推奨しておりません。これを失敗すると結局、型離れは悪くなり使い物にならなくなってしまう可能性があります。

そのため、馬嶋屋の推奨では1回目の空焼きをしっかり行って頂き、2回目の空焼きはせずに油脂をしっかり塗って生地を焼成します。型は水洗いせずに拭き掃除程度で油脂を取り除かないようにし、また次に焼成するときに油脂を少し塗って焼成します。これを繰り返すことによって型離れが徐々に良くなっていきます。

また、使い終わりはコックさんが使う鉄のフライパンのように水洗いはせず拭き掃除程度で型に残った油をあえて残しておきます。

この繰り返しによって型に油がどんどん馴染み型離れが良くなっていきます。ですので1回目の空焼きをしっかり行って頂くことが一番重要です。



3.空焼きが必要な素材は何?

空焼きが必要な素材は主に鉄素材のブリキ、アルタイト(アルスター)、スチール、ギルアです。但し、これらの素材の中には

シリコン加工、テフロン加工が施されているものがありますので、その場合は空焼き不可(不要)です。
※テフロン加工とフッソ加工は呼び名が異なるだけで同じ意味です。

シリコン加工やテフロン加工がされているものを空焼きしてしまうと、せっかくの加工が剥がれ型離れ効果を著しく劣化させてしまいます。



【空焼きが必要な材質】
シリコン加工、テフロン加工がされていないものの中で

・ブリキ
・スチール
・アルタイト、アルスター、アルシート
・ギルア
・スチール

【空焼きが不要な材質】

・シリコン加工またはテフロン加工がされているもの
・アルミ
・ステンレス
・アルミダイキャスト
・アルブリット
・シリコンゴム
・銅

※銅製のカヌレ型の場合は蜜蝋を塗って空焼きされる方もいらっしゃいます。

関連記事
お菓子型におすすめのシリコン加工とは
食パン型におすすめのテフロン加工とは


4.メッキを強くし汚れを取るための空焼き

ご家庭用オーブンでできるだけ高い温度に設定し、庫内が温まるまで待ちます。

ブリキ・ギルアお菓子型の場合は200度程度
※庫内温度は設定温度よりも低い場合がございます。オーブンメーターをお持ちの方はメーターの温度にてご確認下さい。
ご不安な方は205~210度の間で設定下さい。210度以上になるとメッキに影響が出る場合がございます。

アルタイト食パン型の場合は240度程度


何も塗らずに、型をそのままオーブンの中へ入れます。食パン型の場合はふたを外し、ふたと本体両方とも入れて下さい。

時間は目安にして20分程度です。
場合によっては庫内でもくもくと煙が見える場合があり、その煙が見えなくなるまでが理想です。

空焼きが終わったら、取り出してやけどに気を付けながら目に見える汚れ等をふき取ります。

この時点で機械油や汚れが残っていると、焼成時に塗る油脂が汚れをコーティングしてしまいかえって型離れを悪くしてしまう可能性があります。

ご不安な方はもう一度、空焼きをするか空焼き時間を少し伸ばしてみることをおすすめします。



5.型離れをよくするための空焼き

馬嶋屋では型離れを良くするための2回目の空焼きはおすすめしておりません。行う場合はご利用者様のご判断においてお願い致します。

型が冷めたら油脂やショートニングなどを型の内側(生地が入るところ)全体に塗ります。食パン型の場合はふたにも塗ります。

油馴染みの空焼きの場合は設定温度や時間に明確なルールはありませんがお菓子やパンを焼くときの、約200度程度で15~20分程度が一般的です。

但し、型の状態によって1度だけでは型に生地がくっついてしまう場合があります。
型を洗わずになんどもなんども焼成したり空焼きをを繰り返すことで少しずつ型離れがよくなっていきます。



外部リンク:【食パン型】使い始めの空焼きの回数は?

ご購入頂きましたパン教室の先生にもご紹介頂きました。



まとめ

「空焼きをしたから型離れが良くなる」には誤解がございます。

馬嶋屋が推奨する空焼きには2つの意味があります。
汚れを取りメッキを強くするための空焼き
型離れをよくするための油馴染みの空焼き

これらの意味と順番を間違えないようにして頂き、
町の食パン屋さんの真っ黒な型のように長く「型を育てる」というお気持ちで使ってみてください。