2021/12/16

お菓子型のプロが選ぶおすすめマドレーヌ型



お菓子作りの定番と言えばマドレーヌもそのうちの一つ。今回はお菓子型・お菓子道具を販売して70年のお菓子型専門店まじまや流のおすすめのマドレーヌ型の選び方や使い方などをご紹介します。

マドレーヌ型の形や大きさ

マドレーヌ型の形は一般的にシェルと呼ばれる貝の形やコキーユと呼ばれるホタテの形が定番です。由来はフランスでありあわせの材料を使いキッチンにあった貝殻を使用したことが発祥だと言われています。

最近では100均などでもタルト型のような形のアルミ箔で出来た型もありますがプロの洋菓子屋さんではシェル型を使用したマドレーヌが主流です。

馬嶋屋では千代田金属さんや松永製作所さん、タイガークラウンさんの型などたくさん扱っております。

千代田金属 深型マドレーヌ

一般的な7~8センチサイズの貝の形の他に、千代田金属さんの業務用天板では深型(厚みがある深いタイプ)や松永製作所さんのミニマドレーヌなど小さいサイズを取り扱っています。

松永製作所 黄金マドレーヌ型 単品

マドレーヌ型に使われる素材

マドレーヌ型に使われる素材には様々なものがあります。分かりやすくご紹介します。

●鉄にシリコン加工またはテフロン加工

メッキがされていない鉄の板の上からシリコン樹脂またはテフロン(フッ素)塗料を吹き付け塗装された型。中国製品などに多い。

中国製コキーユ型(ティファニー)
タイガークラウン ブラック マドレーヌ型

●ブリキにシリコン加工

千代田金属さんの半田ブリキや松永製作所さんの黄金シリーズ、シルバーシリーズが有名な材質。一般的にブリキと呼ばれる鉄素材を使用しています。色の違いは鉄を保護するためのメッキの厚みの違いです。加工の途中に熱を加えるとメッキの厚みによって色が金色っぽくなったりシルバーやグレーっぽい色に変化します。メッキが厚い分、サビにくいと言われています。

●アルミにテフロン加工(アルブリット)

タイガークラウンさんで採用されているアルブリットシリーズでは、アルミにテフロン加工が2回施されています。

●シリコンゴム

シリコン樹脂加工とはことなり、柔らかいゴム素材の型です。シリコマートのシリコンフレックスシリーズが有名です。柔らかいので外しやすいメリットがありますが、熱が通りにくいので焼成の温度や時間の調整が難しいのがデメリットです。

シリコマート SF032

おすすめのマドレーヌ型

マドレーヌ型を選ぶ場合にはお菓子作りをする頻度や型離れのしやすさ、焼き上がりの良さなど何を優先するかによって選び方も変わります。それぞれの型の特徴を見てみましょう

●ほぼ毎日使う!プロ仕様なら日本製 千代田金属さんか松永製作所さん

千代田金属さんや松永製作所さんのマドレーヌ型は、ブリキと呼ばれる熱通りの良い素材が使われています。メッキも厚くサビにくいのもプロに人気の理由です。これらの主な違いは、丈夫さ。松永製作所さんの型は板厚が若干厚く型の周囲にワイヤーが入っており、毎日の焼成にもより長く耐えられるように丈夫に作られています。

一方、千代田金属さんの型は専門の設計しさんがデザインしています。そのため、お菓子としての見栄えだけでなく加工がなくても型離れしやすいように緻密に作られています。千代田金属さんの型がきれいにはずれるのは、「シリコン加工だから」と言う理由だけでなく、外れやすいように計算された「形」にあるのです。

千代田金属マドレーヌ型のご購入

松永製作所マドレーヌ型のご購入

●週に2回程度ならタイガークラウンさんのブラックマドレーヌ

タイガークラウンさんのブラックマドレーヌ型は千代田さんや松永さんの型に比べお値段も安いので、週に数回お菓子作りをされる中級さんにおすすめです。シリコン加工の型は若干お菓子の色づきがしにくいと言う特徴もあるのですが、黒く塗られた塗装により「黒い色」自体に熱を蓄える特長があるのでご家庭でのおやつやお友達への贈り物ならこの型でも○

タイガークラウン ブラックマドレーヌ型のご購入

●月に数回なら一番安い中国製

お菓子作りの初心者の方へは、まずお菓子作りに慣れて頂く必要があるので一番安価な型でチャレンジしてみて下さい。お値段も数百円とお手頃のため商品の質も相応ではありますが、初めてのマドレーヌ作りには使いやすくおすすめです。

ティファニー マドレーヌ型のご購入

マドレーヌ型の使い方・お手入れ

マドレーヌ型の使い方を説明します。

1.シリコン加工またはテフロン加工がされているかチェック

ご購入の型にシリコン加工またはテフロン加工(フッ素加工)がされているかチェックしてください。されている場合は3.へ進んで下さい。

2.されていない場合は、鉄素材なら空焼き(から焼き)が必要です。

馬嶋屋の取り扱い品の中ではタイガークラウンさんのギルアが該当します。分からない場合はお気軽にお問合せ下さい。

型には何も塗らずにオーブンへ入れ210度程度で15分程度、空の状態で焼成して下さい。※初回だけで結構です。2回目以降使用する場合は不要です。

3.≪使い始め≫できるだけ水洗いはせず拭き掃除をお願いします。推奨はしませんが衛生的に汚れが気になる場合は、柔らかいスポンジで水洗いして頂いても構いません。その場合、下記にご注意下さい。

・多くが鉄素材のためサビる場合があります。
・擦ることによって加工の劣化が早まります。
・水につけることによって加工の劣化が早まります。

なお、水洗いした場合は自然乾燥ではなくオーブンの予熱で乾かして下さい。

お菓子型の拭き掃除

4.生地を入れる際は、必ず油脂の塗布をお願いします。

他ショップでは「シリコン加工のため油脂は必要ありません」と案内されている場合がありますが、これは間違いです。お菓子作りが一般の方へ普及する以前からプロの現場では加工がされていても必ず油脂を使用しています。油脂を利用しないと頻度に関わらずたった数回の利用でも型離れが悪くなる可能性がございます。

スプレーオイルやサラダ油を刷毛などで塗るのも良い方法ですが、おすすめはバターです。冷蔵庫から出した固めのバターを指に塗り強力粉をはたくとより生地が型にくっつかずに型離れしやすくなります。

お菓子型にバターを塗る

5.生地を入れ焼成します。

生地が型離れせずにくっつく原因で一番多いのが焼き時間が足らず焼きが甘い(型の接地面が十分に焼けていない)ことが原因です。焼きが甘い状態で型から外そうとしても生地が焼き固まっておらずきれいに外れません。

千代田金属さんの型などどんなに良質な型を使用しても焼成がうまくいかないとくっついてしまいます。

6.型外し

型から外す時はミトンを使用してオーブンから取り出し、まだ熱いうちにテーブルより10センチほどの高さから型を落として下さい。これをすることで生地内の余計な空気が抜け型から外しやすくなります。

7.≪使い終わり≫焼成後もできる限り水洗いは避けて下さい。理由は

・残った油脂が次回使うときに型離れ効果を発揮
・サビの予防

の2点です。鉄のフライパンに油を塗って保管するのと同じです。できる限り拭き掃除と詰まった汚れは爪楊枝などで取り除き、腰高以上の風通しのいいところで保管するのがベターです。

お菓子型の溝は爪楊枝で

マドレーヌ型を使用した基本レシピ

基本のマドレーヌ

ふんわり、しっとりしたマドレーヌの基本のレシピ。余計な材料を一切入れていないので、バターと粉の風味をしっかり味わえます。クックパッドレシピはこちら