カヌレ型の材質による焼き上がりの違い
コロナ禍でのお菓子作りブームで最近特に人気のカヌレ型。高温で焼き上げることにより外はパリっと中はもっちりとした独特な食感を生み出すフランス発祥のお菓子カヌレ(カヌレ・ド・ボルドー)。
馬嶋屋ではシリコン加工、テフロン加工、銅、シリコンゴム、アルミ、ステンレスなどありとあらゆる材質をラインナップしています。
しかし、実際のところ焼き上がりってどうなの???
と言うふとした疑問から、馬嶋屋スタッフが実際に作り比べてみました。
【参考記事】
【各材質の特徴】
今回、使用した型の材質はトップ画像の左から
銅製
ブリキ製
アルミ製
ステンレス製
グレーシリコン加工
ゴールドシリコン加工
ブラックシリコン加工
を使用しました。それぞれの特徴をみていきましょう。
1.銅製カヌレ型
一番熱通りがいいのは銅。本場フランスのパティシエは銅カヌレ型を使用します。
ただ、一般の方には扱いが難しくベストな焼成温度と時間を見つけるのに苦労します。
2.アルミカヌレ型
アルミは銅の次に熱通りがよく銅よりも価格がお安いのが魅力です。
但し、型離れがしにくい場合があるため型離れのコツをつかむのが難しい材質です。
3.ステンレス製
金属の中では火通りが悪いため本来はカヌレには不向きです。
4.グレーシリコン加工、ゴールドシリコン加工
下地の材質は鉄で表面にシリコン加工(離型加工)がされています。
鉄は銅、アルミに次いで火の通りが良く型離れしやすいのが特徴です。
ただし蜜蝋を使用したレシピにはご利用不可です。一般の方向けです。
5.ブラックシリコン加工
シリコン加工に黒い塗料を含ませた加工がされています。
4と下地は同じ鉄ですが、黒い色が熱をため込む性質があるため4よりも熱通りが良くなります。
【今回使用していない材質の紹介】
今回は使いませんが馬嶋屋で扱う他の材質をご紹介致します。
テフロンカヌレ型(霜鳥製作所)
下地材質に鉄、表面にテフロン加工がされた型です。価格が安いため人気があり一般の方が初めてカヌレを作る場合におすすめです。
あかがねカヌレ型
下地がブリキ(鉄素材)の内面にテフロン加工、外面に耐熱塗装をした型です。
型離れと熱通り両方をバランスよく兼ね備えた馬嶋屋一押しの型です。ブリキに耐熱塗装をすることによってカヌレに必要な十分な熱通りを実現します。
シリコンゴム型(シリコマート シリコンフレックス)
シリコンゴムでできたシート状のカヌレ型です。
ステンレス同様熱通りしにくいデメリットのため一般の方のご利用はおすすめ致しませんが、水洗いできるためお手入れがらくです。
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【テストしたレシピ内容】
今回、テストしたレシピは馬嶋屋が以前作成したレシピを参考にしました。
オーブンの焼成は230℃強火20分、230℃弱火45分。
【焼成の様子】
20分の強火で銅製のみ沸騰せず、シリコン加工は噴火のような沸騰で、ブリキやステン、アルミは大人しく沸騰してました。
銅の型を一番手前に置いたのでオーブンの扉に近く温度が低いのだと思いましたが、
30分過ぎたあたりからどんどん追い上げていき中心の沸騰はありませんでしたが綺麗に焼き色が入ってきました。
まろやかな銅の熱伝導の良さがここで発揮されましたようです。
【緊張の型外し】
馬嶋屋レシピを参考にたっぷりバターを塗ったので『ポロリ』と簡単に・・・と言いたいところでしたがアルミ製が焦げ付き取れませんでした。
バターはしっかり塗ったので、このレシピではアルミの熱伝導の速さが焦げすぎの原因かと思われます。
【最終結果】
素材によって熱伝導が異なるので、レシピに記載の時間や温度を参考にしながら調整が必要です。
そのため、参考にするレシピ選びも重要かも。
ステンレスはアルミと対照的に熱伝導が悪いので、同じ時間と温度でも完全に焼けきれず折れてしまいました。
銅製とシリコン加工は、外はパリっ中はモチモチの感じで型のシルエットも綺麗に出ました。
特にこのレシピで綺麗な仕上がりを見せたのはブラックカヌレ型でした。
若干の差ですが、銅製で焼いたカヌレが一番パリっと仕上がりました。
もう5分~10分焼けば銅製が完璧な仕上がりだと思います。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?同じ条件でも型の材質が異なると焼き上がりが全く異なります。また、カヌレは温度の影響をデリケートに受けるためオーブン内の置く位置によっても焼き色が変わるかもしれません。挑戦されたいお菓子によって向き不向きの材質がある事を知っておくとよりおいしく作ることができますよ。